クルトンのプログラミング教室

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統計初学者が統計検定1級に合格する方法

こんにちは、クルトンです!

2021年11月21日に実施された、統計検定1級(数理統計、応用統計(理工学))に合格することができました!

なので、この記事では統計検定を受けるまでに勉強した内容について書こうとおもいます。

勉強を始める前の状態

  • 統計はセンター試験と大学1回生のときに般教でやった程度(分散は分かるけど不偏分散って何?ぐらいのレベル)
  • 高校数学は得意な方だった

みたいな感じです。統計検定は受けたことが無かったのですが、高校数学は割と得意だったので「1級をパッと取ってサクッと終わるべ!」ぐらいの気持ちで一級に申し込みました。(この頃は2~3週間勉強すればいけるだろうと思っていた)

どんな試験か

https://www.toukei-kentei.jp/

公式サイトを読んでください。

参考書

使用した参考書を紹介します。
それぞれのテキストにかかった勉強時間と個人的なおススメ度、難易度と使用した感想を説明します。

入門統計解析

所要時間:34時間(テキストを読んで問題を一周しました)

おススメ度:★★★★☆
  難易度:★★☆☆☆

感想:問題演習も豊富で初学者でも分かりやすい内容になっていました。他の入門書を買っていないので比較はできませんが、初めて統計を学ぶのならこれで問題が無い気はします。

現代数理統計学

所要時間:24時間(少しだけ読んで読了を諦めました)

おススメ度:★★☆☆☆
  難易度:★★★★★

感想:とにかく難しい。数学力に自信がある人は挑戦してみてもいいかもしれませんが、僕はおススメはしません。僕は途中で理解するのを諦めて、これから紹介する『現代数理統計学の基礎』にテキストを換えました。

現代数理統計学の基礎

所要時間:74時間(1~9章を読んで、1~4章の問題を2周しました)

おススメ度:★★★★★
  難易度:★★★★☆

感想:久保川本と呼ばれており、多くの1級受験者がこの本で勉強しています。この本を仕上げれば数理統計に関しては問題なく解けるようになると思います。

大学教養線形代数(数研講座シリーズ+チャート式)

所要時間:56時間(テキストを読んで問題を1周しました)

おススメ度:★★★★☆
  難易度:★★☆☆☆

感想:線形代数についての知識がゼロだったので読みました。大学で線形代数の講義を受けた人は読まなくていいと思います。誤植が極めて少ないためストレスなく読めたので、初学者にはかなりおススメです。

確率と確率過程

所要時間:22時間(テキストを読んで問題を1周しました)

おススメ度:★★★☆☆
  難易度:★★★☆☆

感想:応用統計(理工学)の対策のために読みました。必須というわけではありませんが、読むのにそれほど時間がかからないため応用統計が不安な方は買ってみてもいいと思います。

統計学 日本統計学会公式認定統計検定1級対応

所要時間:22時間(統計検定の参考書として使いました)

おススメ度:★★★★☆
  難易度:?(問題を解いていないため)

感想:統計検定の範囲が網羅されていますが、一つ一つの内容についての説明が少なく行間を読み解くのが大変です。そのため、メインのテキストとして使うのはおススメしません。僕は応用統計の参考書として使っていました。

やって良かったことorやっておけば良かったこと

統計検定の勉強で「これをやって良かったな」ということと、逆に「これをやっていれば良かった…」ということを書いておこうと思います。

まとめノートを作る

これは本当にやって良かったです。内容の8割ぐらいはテキストの内容をまとめただけですが、他にも問題演習で自分のやりがちなミスや覚えておくべき式(一から導出するには時間がかかるが頻出であるようなもの)、解法パターンや混同しそうな単語(有意水準と有意確率、最尤推定量と最尤推定値、etc.)などを書いていました。

メリットとしては

  • 分からなかった部分がまとめノート1冊にまとまっているので、2周目の解きなおしが楽になる
  • テキストの内容をまとめながら読むことで、漫然と読む場合に比べてしっかりと理解できるようになる
  • 「この1冊を完璧にすれば過去問は解ける」という状態を作ることで、ノートが精神的な支えになる

などがあります。

勉強を始めたての人だけでなく、直前期の人でもまとめノートを作ることを強くお勧めします。

まとめノートの作り方については以下の記事に詳しく書いたので、良かったら読んでみてください。

kuruton.hatenablog.com

過去問を早くからやる

僕は久保川本を読み終わってから過去問を解き始めたので、割と遅く(約1か月前)なってしまったのですが、もう少し早くやっておけば良かったなと思います。

僕が速くから過去問を解き始めた方が良いと思うのは

  • 問題数が多いため時間がかかる(僕が受けたときは過去問が8年分あり、応用統計と数理統計がそれぞれ5問ずつ出題されるので、全部で80問ありました。)
  • 問題を見ることでテキストの読み方が変わってくる(テキストではあまり強調されていない部分が頻出だったりする)

という理由です。

僕がテキストを1周したときに過去問を解いてみると、「テキストに載ってたことはなんとなく覚えてるけど全く解けない…」みたいな状態になったので、もっと早く問題を見ておけば良かったと後悔しました。

ただ正直なところ、テキストをまだ1周していない時点で過去問を見ても全く分からないと思うので、過去問1年分をテキストの演習問題として使うか、テキストを2周する前提で早くから勉強を始めるのが良いと思います。

連想ゲームをしてみる

上記の2つほど重要ではありませんが、割とおススメの勉強法として連想ゲームがあります(僕がかってに名前を付けました)。

例えば不偏分散からスタートすると

 「不偏分散の不偏ってなんだっけ?」
→「なんでnじゃなくてn-1で割るんだっけ?」
→「不偏分散の不偏性の証明ってどうするんだっけ?」
→「n-1といえば \begin{equation*} \frac{(n - 1) s^2}{\sigma^2}\sim \chi_{n - 1}^2 \end{equation*} ってどうやって証明するんだっけ?」

みたいな感じです。

この「色んなことを思い出しながら頭の中で証明して復習する」という勉強法は記憶も定着するし、場所も問わず隙間時間に勉強できるのでおススメです。僕は通学中に自転車を漕ぎながらよく考えてました。

もちろん、頭の中で証明できなければ家に帰ってから紙に書いて解いてみるのも良いでしょう。ただ、この勉強法は記憶を定着させるのが目的なのですぐに調べてしまうのはお勧めしません。

ときどき全く新しい疑問が生まれることもあるので、そういう場合は覚えるかメモしておいて家に帰ってからじっくり調べてみると良いでしょう。

最後に

いろいろ書いてきましたが、万人に通用する勉強方法というものはないので他の人の記事も読んで色々試してみるのが良いと思います。

この記事が誰かのお役に立てれば幸いです。